
建物の解体やリフォーム時に問題となるアスベストは、その危険性に応じて「レベル1」から「レベル3」に分類されています。レベルによって飛散のリスクが異なり、撤去方法や費用にも大きな差が出てきます。本記事では、アスベストのレベルごとの違いや、それに伴う撤去費用の目安についてわかりやすく解説するので、ぜひご一読ください。
危険度で分類されるアスベストのレベル
アスベストのレベルは、作業時の飛散リスクに基づいて3段階に分類されています。レベル1がもっとも飛散性が高く、厳重な対策が必要とされる分類です。
そもそもアスベストとは、天然鉱物からなる繊維状の物質です。耐熱性や断熱性に優れているため、かつてはさまざまな建材に使われてきました。しかし、健康被害の問題が徐々に明らかになり、現在では製造や使用が禁止されています。
アスベストのレベル1~3について
ここでは、それぞれのレベルがどのような違いを持つのか、使われていた建材の特徴とともにわかりやすく解説します。
もっとも危険性が高いレベル1のアスベスト
レベル1に分類されるのは、吹付け石綿など、綿状で繊維が空気中に飛びやすいアスベストです。主に断熱や吸音の目的で使用され、特に昭和30〜50年代初期の建物に多く見られます。この種の建材は解体や補修時に粉じんが飛散しやすく、作業環境にはもっとも厳しい管理が求められます。
なお、一般住宅ではレベル1のアスベストが使われている例は非常に少ないのが現状です。
保温材などに使われるレベル2のアスベスト
レベル2は、保温や断熱を目的としたアスベスト材が該当します。たとえば、配管やボイラーの断熱材として使われており、密度が低いために崩れると粉じんが発生しやすい特徴があります。
レベル1ほどの飛散性ではないものの、解体作業時には防じん対策が必要です。建物の構造部材の一部として使用されている場合もあるため、調査の上で慎重に対応する必要があります。
成形された建材に多いレベル3のアスベスト
レベル3は、アスベストをセメントなどと混ぜて成形した硬い建材が該当します。屋根材や外壁材、天井板などに使われ、通常使用時にアスベストが飛散する可能性はほとんどないといえます。
しかし、切断や解体の際には粉じんが発生するおそれがあるため、作業中の飛散防止対策は欠かせません。見た目では判断が難しいため、専門調査による確認が重要です。
アスベストの撤去費用はレベルでどう変わる?
アスベストの撤去費用は、レベルによって大きく異なります。ここでは、レベル1〜3それぞれの撤去費用の目安と、コストが変動する理由について紹介します。
危険性がもっとも高いレベル1の撤去費用
レベル1に分類される吹付けアスベストの撤去費用は、1.5万円〜8.5万円/㎡が目安です。飛散のリスクが非常に高く、作業には密閉・隔離など厳重な対策が必要なため、費用も高額になりがちです。
また、天井や梁など広範囲に使われているケースが多く、除去面積が大きくなることで総額も膨らむ可能性があります。そして、作業には資格を持った専門業者の対応が不可欠です。
慎重な作業が求められるレベル2の撤去費用
レベル2に該当するのは、配管などに巻き付けられた断熱材などです。撤去費用の目安は、1.0万円〜6.0万円/㎡程度です。
レベル1ほどではないものの、飛散の危険性があるため、作業手順や防護措置は同様に厳重に行われます。施工箇所が建物内部にあることも多く、作業に手間がかかることから、トータルの費用も高額になる場合があります。
比較的安価なレベル3の撤去費用
レベル3は硬化した建材で、飛散のリスクが低いため、撤去費用も抑えられています。目安は0.3万円/㎡ほどで、作業は手作業による取り外しが中心です。一般的な30坪の住宅の場合、屋根の撤去で10〜20万円、外壁で20〜30万円程度が目安となります。
ただし、複数箇所に広く使用されている場合や、特殊な施工がされている場合には、費用が上がることもあるため注意が必要です。
アスベスト除去は慎重に!複数の解体業者に見積もりをとろう
解体工事を検討している場合は、必ず複数の解体業者に見積もりを依頼することをおすすめします。とくにアスベストの除去が必要な場合は、対応に慣れている業者とそうでない業者とで、費用や作業の質に大きな差が出ることがあります。不慣れな業者に依頼してしまうと、相場より高額な費用を請求されたり、適切な飛散防止対策が取られていなかったりと後々のトラブルにつながる恐れも否定できません。
複数社から見積もりを取ることで、料金や対応の違いを比較できるほか、アスベスト除去工事の実績が豊富な信頼できる業者を見つけやすくなります。安心・安全な解体工事を行うためにも、見積もり比較は欠かせないステップです。
まとめ
アスベストはレベルによって危険性や飛散リスクが異なり、それに伴って撤去費用や作業方法も大きく変わります。レベル1や2のように飛散の危険性が高いものについては、専門的な知識と技術が求められ、慎重な対応が不可欠です。費用面でも差が出やすいため、信頼できる解体業者を選ぶことが重要です。そのためには、複数の業者から見積もりを取り、対応実績や説明のていねいさを比較検討しましょう。建物の解体やリフォームを検討している人は、事前にしっかりと調査・準備を行い、納得できる形で工事を進めてください。