解体・改修を予定している建物にアスベストが含まれていると、アスベストの除去工事を行う必要があり、費用がかさんでしまいます。そのため、解体工事などを予定されている方のなかには、いち早くアスベストの有無を知りたいと考えている人も多いでしょう。そこで今回は、建物の築年数からアスベストの有無を調べられるのか解説します。
築年数によるアスベスト使用の推定
アスベストは、断熱性などに優れていることから、1955年頃から建材として使用されていました。しかし、アスベストによる健康被害が多く報告されると、1975年に規制がはじまり、2006年の法改正でアスベストの製造や使用が全面的に禁止となったのです。
そのため、1955年頃から2006年以前に建築された建物は、屋根や外壁、内装材、断熱材などにアスベストが使用されている可能性があります。しかし、該当する期間に建築されていても、すべての建物でアスベストを含有する建材を使用していたわけではないので、築年数からアスベストの有無を断定することは不可能です。
あくまで築年数でアスベストを使用している可能性があるかどうかわかるだけなので、アスベストの有無や含有率を調べるためには、アスベスト調査を行う必要があります。
アスベスト調査の重要性と方法
建築物の解体や改修工事に際しては、個人宅を含むすべての建物について、事前にアスベストの調査が不可欠です。一定規模以上の建物に関しては、労働基準監督署や地方自治体に調査結果を報告する義務が課されています。事前調査により、建物の建材にアスベストが含まれている場合は、その除去が必要です。
アスベスト調査の重要性
かつて建材として広く使われていたアスベストは、その高性能ゆえに好んで採用されていました。しかし、この物質は非常に細かい繊維状であり、空気中に飛散しやすく、吸入すると肺に深刻な健康被害をもたらすことが明らかになったのです。
肺がんや悪性中皮腫などの疾患が引き起こされる可能性があり、過去の健康被害や死亡例を考慮し、アスベストの製造・使用は現在禁止されました。また、アスベストが含まれる建物の解体や改修に際しては、アスベストの飛散を防ぐため、事前の調査や除去作業が法的に義務付けられています。
アスベストの事前調査は、すべての建物が対象となります。個人の自宅の解体やリフォームも含まれますので、注意が必要です。事前調査や報告を怠ると罰則が科せられるため、注意が必要です。
アスベスト調査の方法
調査方法は、まず第一次スクリーニングとして、書面や図面の調査が行われます。設計図だけでなく、登記簿謄本などのさまざまな書類が確認されるのです。次に、第二次スクリーニングとして、現地調査が実施され、建材や外壁などが目視で確認されます。
判断が難しい場合は、サンプルが採取されて分析されるのです。分析方法には、アスベストの有無を確認する「定性分析」と、アスベストの含有率を検査する「定量分析」があります。
アスベスト対策と除去のプロセス
建物の事前調査により、アスベストを含む建材の使用が確認された場合、建物の解体や改修工事の前にアスベストの除去が必要です。
アスベストの調査や除去は、その危険性から専門の資格をもった専門家によって行われる必要があります。大気汚染や健康被害を防ぐためにも、信頼できる多くの有資格者を擁する企業に作業を依頼することが重要です。
アスベスト除去の手順
アスベストの除去作業は、アスベストの「発じん性」に基づいて3つのレベルに分類され、それぞれ異なる方法や費用が適用されます。
まず、吹き付け材などの発じん性が非常に高いレベル1の場合は、除去工法や封じ込め工法、囲い込み工法などが採用されているのです。次に、断熱材や保温材などの発じん性が高いレベル2の場合も同様の手法が用いられます。
そして、割れにくく硬い建材に含まれるアスベストの場合は、比較的低いレベル3に分類され、手作業を主体とした除去が行われるのです。
アスベスト除去の費用
除去作業はその危険性から費用も高額です。アスベストを含有する建物の年数が高いほど、除去が必要となる可能性が高いため、事前に見積もりを依頼し、予算内に計上しておきましょう。
まとめ
建物を解体・改修工事する場合、事前にアスベストの調査をし、建材にアスベストが含まれている場合はアスベストの除去を行うことが義務付けられています。とくに、1955年頃から2006年以前に建築された建物は、アスベストが使用されている可能性があるため、注意が必要です。アスベストの有無は築年数だけでは断定できないため、専門業者できちんと調査してもらいましょう。アスベストは人体に有害であるため、アスベストを飛散させないよう法律を守りしっかりアスベスト対策を行うべきです。アスベストの除去工事は、費用だけでなく工期も余分にかかるため、予算やスケジュールに余裕をもって行いましょう。
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