
アスベストはかつて建材に広く使用されていましたが、健康への影響が明らかになった今では厳しい管理が求められています。とくに除去工事の際にはアスベストが空気中に飛び散らないよう徹底した対策が必要です。この記事では、飛散防止対策の基本から安全に除去を行うための方法、専門業者に依頼するメリットまでを詳しく解説します。
なぜ飛散防止が必要なのか?まずはリスクを正しく理解しよう
アスベストが含まれる建材は、通常の状態では大きな問題にはなりませんが、劣化や破損によって繊維が空中に舞い上がると大きなリスクとなります。そのため、飛散防止がなぜ重要なのかを改めて確認しましょう。
アスベストの健康被害は長期間に及ぶ
アスベストの繊維は非常に細かく、空気中に漂うと長時間浮遊し続けます。アスベスト繊維を吸い込むと、肺の奥まで到達し、肺がんや中皮腫といった深刻な病気を引き起こす可能性があります。
しかも、これらの症状はすぐには現れず、20年から30年といった長い潜伏期間を経て発症することが多いため、発見されたときには治療が難しいケースも少なくありません。
建材の劣化や工事中に飛散しやすい
築年数の経った建物では、外壁や天井などの建材が劣化し、表面がはがれたり、ひび割れが生じたりすることがあります。
こうした状態で無理にリフォームを進めたり、打ち壊したりすると、アスベストが飛散するリスクが高まります。リフォームや解体を予定している場合は、事前にアスベストの有無を確認することが重要です。
法的にも義務づけられている飛散防止措置
日本ではアスベストの飛散防止について法律で厳しく管理されており、大気汚染防止法や労働安全衛生法にもとづいて、除去作業時には飛散防止措置を講じることが義務化されています。
これを怠ると、罰則が科される場合があります。法令に従って作業を行うことは、近隣住民への配慮や社会的責任の面でも大切です。
実際に行われる飛散防止対策の内容とは?安全を守る4つの方法
では、実際にアスベストの飛散を防ぐために、現場ではどのような対策が行われているのでしょうか。現場で実施される代表的な方法を4つ紹介します。
事前調査による含有の確認
飛散防止対策の第一歩は、アスベストが使用されているかどうかの事前調査です。目視では判断できないため、専門業者が建材の一部を採取し、定性分析や定量分析を行って含有の有無と濃度を確認します。この結果を元に、作業内容や対策の範囲が決定されます。
作業区域の密閉と養生処理
作業中にアスベストがほかの部屋や屋外に拡散しないよう、除去エリアはビニールシートなどで完全に囲われます。さらに、部屋の気圧を外よりも低く保つ「負圧装置」を使うことで、万が一繊維が舞っても外に漏れない構造が作られます。密閉空間の中で作業が行われることで、飛散のリスクを最小限に抑えます。
湿潤化処理で繊維の舞い上がりを防ぐ
作業前や作業中には、アスベストが含まれる建材に水をかけて湿らせます。湿潤状態にすることで、繊維が空気中に舞い上がるのを防ぎ、作業者の吸引リスクを大きく下げる効果があります。この処理は地味に見えますが、飛散対策において非常に重要な工程のひとつです。
防護具と作業後の清掃
作業者は専用の防護服や防じんマスク、ゴーグルを装着し、直接アスベストを吸い込んだり肌に付着したりしないように完全装備で作業を行います。作業が終わったあとは、衣類や道具をしっかり洗浄し、現場の床や壁も丁寧に清掃されます。作業者や周囲の人々を守るための、徹底した管理が求められます。
信頼できる専門業者に任せることが最も安全な選択肢
ここまで解説してきたように、アスベストの除去は高度な管理と専門的な技術が求められる作業です。一般の方が自力で行うのは非常に危険であり、法的にも認められていません。安全に、そして確実に処理するには、信頼できる専門業者に依頼するのがベストです。
専門業者は知識と経験が豊富
アスベスト除去の専門業者は、必要な資格を有しているだけでなく、現場での豊富な経験ももっています。作業ごとに最適な飛散防止対策を選択し、安全かつ効率的に除去を進めてくれます。また、法令遵守にもとづいた届け出や報告書の作成も任せることができるため、トラブルの心配も減ります。
費用や補助制度についても相談できる
除去費用について不安がある場合は、まずは見積もりを依頼し、費用感を確認することが重要です。建物の規模や作業の内容によって金額は変わりますが、多くの自治体ではアスベスト除去に関する補助金制度を用意しており、条件を満たせば一部の費用が支給されることもあります。そうした申請のサポートも業者に相談すればスムーズに進みます。
まとめ
アスベストの飛散は、目に見えない場所で人の健康を大きく脅かす重大な問題です。除去作業の際には、事前調査、密閉養生、湿潤化、防護具など、複数の工程を徹底して実施することが重要です。これらの対策は高度な技術と知識を必要とするため、個人で行うことはできません。安全かつ法的にも適切な方法でアスベストを除去するためには、認可を受けた専門業者に依頼するのが最善です。専門業者であれば、リスクを最小限に抑えながら、飛散防止の工事を効率的かつ確実に進めることが可能です。また、補助金の申請や行政対応も一括で任せられるため、施主にとっても安心感が大きいです。大切な家族や地域の人々を守るためにも、アスベスト対策は早めに行動し、信頼できる業者との連携で進めていくことをおすすめします。