アスベストは、かつて建材として広く使用されていましたが、健康被害が明らかになるにつれて使用が制限され、現在では原則禁止されています。しかし、過去に建てられた建物にはアスベストを含む建材が残っていることがあり、解体や改修の際には適切な処理が求められます。本記事では、アスベスト廃棄物の正しい処理方法について解説します。
アスベスト廃棄物とは？
アスベスト廃棄物とは、アスベストを含む建材や製品が使用済みとなり、廃棄されるものを指します。これには、解体工事や改修工事で発生するアスベスト含有の壁材、天井材、床材、配管の保温材などが含まれます。
これらの廃棄物は、飛散性の有無などの性状によって「特別管理産業廃棄物」または「産業廃棄物」に分類され、それぞれで処理方法が異なります。
特別管理産業廃棄物と産業廃棄物の違い
飛散性が高く、健康被害のリスクが大きいアスベスト廃棄物は「特別管理産業廃棄物」に分類されます。代表例は、吹付けアスベストや劣化が進んだ建材など、粉じんの発生が懸念されるものです。
一方、アスベストがセメントなどで固化されており、通常の状態では粉じんが発生しにくい建材は「産業廃棄物」として扱われます。これらは非飛散性アスベスト廃棄物と呼ばれ、比較的リスクが低いとされています。
廃棄物の分類による処理の違い
特別管理産業廃棄物は、厳格な管理のもとで収集・運搬・処分されます。処理業者は専用の許可を取得している必要があり、運搬には密閉容器を使用し、処分場でも専用施設での処理が義務づけられています。
一方、産業廃棄物については、通常の産業廃棄物処理業者による取り扱いが可能ですが、アスベストを含むため、飛散防止措置や管理記録の整備など適切な対応が求められます。
廃棄物処理の現場での具体例
現場では、除去されたアスベスト建材をブルーシートや専用資材で包み、空気が漏れないように厳重に梱包して搬出します。処理施設では、あらかじめ受け入れ可能な廃棄物の種類が定められており、申請やスケジュールの調整が必要です。
処分工程はマニュアルにもとづいて厳格に管理され、処理の記録は法令にもとづき一定期間保存されます。そのため、こうした業務を安全かつ確実に行うには、専門業者の関与が不可欠です。
アスベスト廃棄物の処理に関する法律と規制
アスベスト廃棄物の処理には、さまざまな法律や規制が関係しています。これらの法律は、アスベストの飛散を防ぎ、作業者や周囲の人々の健康を守ることを目的としています。
廃棄物処理法
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律（廃棄物処理法）」は、廃棄物の適正な処理を定めた法律です。アスベスト廃棄物は、この法律のもとで「特別管理産業廃棄物」または「産業廃棄物」として分類され、それぞれの処理基準が定められています。処理業者は、許可を受けた施設にて適切に処理を行う必要があります。
労働安全衛生法
労働安全衛生法は、労働者の安全と健康を確保するための法律です。アスベストの除去や処理作業を行う際には、作業計画の届出や作業環境の測定、防護具の着用などが義務づけられています。これにより、作業者がアスベストの粉じんを吸入するリスクを最小限に抑えることが求められます。
大気汚染防止法
大気汚染防止法は、大気中の有害物質の排出を規制する法律です。アスベストの除去作業においては、作業前に自治体への届出が必要であり、作業中の飛散防止措置や作業後の清掃などが義務付けられています。これにより、周囲の環境や住民への影響を防ぐことが目的とされています。
自治体ごとの独自ルール
法律とは別に、各自治体が独自のルールや届出様式を設けている場合もあります。例えば一部の市町村では、処分前に写真添付や搬出経路の申告が必要とされることもあります。こうした違いを把握し、適切に対応できるのも専門業者ならではの強みです。
アスベスト廃棄物の正しい処理方法
アスベスト廃棄物を適切に処理するためには、専門的な知識と技術が必要です。以下に、正しい処理方法の流れを紹介します。
事前調査と分類
まず、建物にアスベストが含まれているかどうかを調査します。専門業者が建材のサンプルを採取し、分析を行うことで、アスベストの有無や種類、含有率を確認します。これにより、廃棄物の分類や処理方法が決定されます。
飛散防止措置の実施
アスベストの除去作業を行う際には、飛散防止措置が不可欠です。作業区域を隔離し、負圧に保つことで、アスベストの粉じんが外部に漏れ出すのを防ぎます。また、作業者は防護服や呼吸用保護具を着用し、作業後には適切な洗浄を行います。
収集・運搬と処分
除去されたアスベスト廃棄物は、飛散しないように密閉容器に封入し、ラベルを貼付して収集・運搬します。運搬車両も密閉構造であることが求められ、運搬中の飛散を防止します。
処分場では、専用の施設で適切に処理され、最終的には安定型処分場などで埋立処分されます。処理後の記録は関係機関に報告され、一定期間の保存が義務づけられているため、すべての工程で確実な管理が必要です。
まとめ
アスベスト廃棄物の処理は、健康被害や環境汚染を防ぐために、法律にもとづいた厳格な管理が求められます。廃棄物の分類や処理方法には専門的な知識が必要であり、誤った処理は法的な問題や周囲への影響を引き起こす可能性があります。自ら処理を行うことは避け、アスベストの調査から除去、廃棄までを一貫して対応できる専門業者に依頼することが最も安全で確実な方法です。専門業者は、法令にもとづいた適切な処理を行い、作業者や周囲の人々の健康を守るための対策を徹底しています。アスベスト廃棄物の処理に関して不安がある場合は、早めに専門業者に相談し、適切な対応を進めることをおすすめします。
【沖縄県】おすすめのアスベスト除去業者7選！
